
全身全霊の引っ張りあいだった。
気付いたら布団の上で必死だった。
引っ張りあいをしている相手は、亡くなった義理の祖父だと直感した。
なぜ義理の祖父だと思ったのかわからない。
その日、義理の祖父母のお墓参りをしたから、勝手に連想したのかもしれない。
「そっち側に持ってかれてはいけない!」
「なんとしてもこれは、こちら側に残さなければならない」
私はそう思ったのである。
現実味のある夢だった。
やっとの思いで、完全にこちら側まで引っ張った。
それは、丸々太った男だった。
なんだか寝ているようだったので、分厚い頬を数回叩いた。
「大丈夫か!」
「大丈夫か!」
そんな風に大声で叫んでいると、部屋の扉が開いた。
「おぉなんや、大丈夫か」
実の父だった。
様子を見にきたのか。
開いた扉から奥の部屋がみえた。
なにやら宴会をしているようだ。
声が聞こえてくる。
「あれはよぉ。素直な次男坊よぉ。」
その話を聞いたときだ。
ゆっくりと水中から浮上するような目覚めだった。
全身の細胞はゾクゾクしている。
まるで、マラソンのラストスパート。
ライバルと競り合い、ゴールした瞬間。
どちらが先にゴールしたのか、わからない。
歓喜だった。
天井の一部は波打っているように見える。
私はそこに義理の祖父がいると感じた。
ここからは私なりの夢の解釈だ。
この夢のテーマは、継承と覚醒。
私には、義理の祖父からなにかを継承した夢のように思えた。
何を継承したのかは、わからない。
祖父と共にあったなにかなのかもしれない。
そして、祖父はそれを渡しに来た。
では、あの丸々太った男はなんだったのか。
エネルギーや可能性の象徴だったのかもしれない。
私は必死になって、それをこちら側へ引っ張った。
そして、その頬を叩いた。
私はそれを目覚めさせた。
祖父は言っているような気がする。
「それを自由に使いなさい」と。
そして、夢を見て数日後のことだった。
素直な次男坊の意味
父が覗きにきた意味
引っ張りあっていた意味
ある出来事を象徴的に表現していたのかもしれないと気付くのは。